固定資産税と都市計画税の違いは?計算方法や仕組みも簡単に解説

小堀 百合子

筆者 小堀 百合子


固定資産税や都市計画税について、「正確な計算方法が分からず困っている」「自宅や土地にどのような税負担があるか知りたい」と感じたことはありませんか。これらの税金には、それぞれ特有の仕組みや計算ルールがあり、概要を正しく理解することで納税への不安も軽減されます。この記事では、固定資産税と都市計画税の基礎的な違いから、税額の具体的な計算方法、そして税金納付の際に役立つポイントまで、分かりやすく整理して解説します。税金についての疑問を解消したい方は、ぜひ最後までお読みください。

固定資産税と都市計画税の基本的な特徴と違い

固定資産税は、土地・家屋・償却資産などを保有する方に対して、その資産の評価額に基づいて課される地方税で、納税先は資産所在地の市町村です。一方、都市計画税は市街化区域内の土地や家屋に限定して課税され、都市計画や土地区画整理の費用に充てられる「目的税」です。つまり、固定資産税は広く一般的な課税であるのに対し、都市計画税は目的が特定され用途が定められた税金として区別されます。また、固定資産税は全地域を対象に課税されますが、都市計画税は市街化区域に限られる点も大きな違いです。これらの区分により、税の性格や対象範囲が明確に異なります。

項目固定資産税都市計画税
対象資産土地・家屋・償却資産土地・家屋(市街化区域内)
課税範囲原則すべての地域市街化区域内に限る
税金の種類普通税(使途自由)目的税(用途限定)

このように、課税対象や税の性格において両者は明確に異なります。例えば、償却資産には都市計画税はかからない一方で固定資産税は課税対象となり、市街化区域に所在しない資産には都市計画税が課されないなど、対象の違いと使途の違いを把握しておくことが重要です。

計算の基本式と適用される税率の解説

固定資産税と都市計画税の税金を理解するための第一歩として、それぞれの計算式と税率についてご説明いたします。

まず、税額計算の基本式は非常にシンプルで、「課税標準額 × 税率 = 税額」です。これは両税目とも共通の計算方式で、課税標準額とは市町村が決定した評価額から住宅用地の軽減措置などを適用した金額を意味します(例:稲城市ホームページより)。

次に税率についてですが、固定資産税の標準税率は多くの自治体で「1.4%」と定められています(いわゆる標準税率)。一方、都市計画税の税率は上限が「0.3%」であり、多くの自治体でこれを上限として設定していますが、自治体によってはそれ以下に抑えている場合もあります(例:柏市では令和7年度分で0.3%を採用)。

さらに実際にご自身の税率を確認する場合は、必ずお住まいの市区町村の公式ウェブサイトや納税通知書をご参照ください。自治体によって条例で税率を変更している場合もあるため、正確な数字を確認する必要があります。

下表は、計算の基本を整理したものです。課税標準額と税率の関係をわかりやすくまとめています。

税目 税率(標準または上限) 計算式
固定資産税 1.4%(標準税率) 課税標準額 × 1.4% = 税額
都市計画税 0.3%(上限税率) 課税標準額 × 税率(自治体による) = 税額
確認事項 自治体ごとに税率が異なるため、公式情報での確認が必要です。


課税標準額の算定方法と端数処理について

固定資産税および都市計画税の課税標準額は、基本となる評価額(固定資産税評価額)に、住宅用地に関する特例率を乗じて算出されます。専用住宅や居住部分が一定比率以上の併用住宅では、その敷地全体、ただし床面積の十倍までが住宅用地として扱われます。居住割合や構造に応じて住宅用地とする面積を定め、評価額に特例率を適用して課税対象額を求めます(例:小規模住宅用地は評価額の 1/6、一般住宅用地は評価額の 1/3)。

住宅用地の特例は、面積に応じて 200 平方メートル以下を「小規模住宅用地」、超える部分を「一般住宅用地」として区分し、それぞれ課税標準額を計算します。固定資産税では小規模部分が評価額の 1/6、一般部分が 1/3、都市計画税ではそれぞれ 1/3、2/3 と軽減されます。

課税標準額や税額を千円未満・百円未満で端数処理する際は、地方税法に基づき切り捨てや四捨五入等の規定が定められていますが、具体的には自治体によって異なることがあるため、詳細は各自治体の公式情報にてご確認いただくことをおすすめします。

なお、以下に住宅用地の特例率をわかりやすく表にまとめました。

住宅用地の区分 固定資産税課税標準額の率 都市計画税課税標準額の率
小規模住宅用地(200㎡以下) 評価額の1/6 評価額の1/3
一般住宅用地(200㎡超の部分) 評価額の1/3 評価額の2/3

上記の特例率は全国的に共通して適用される基本パターンですが、ご利用の自治体によってはこれらに加えて独自の軽減措置や異なる端数処理ルールがある場合があります。正確な税額や切り捨て方法については、お住まいの自治体の資産税担当部署や公式ウェブサイトにてご確認ください。

計算例を通じた理解促進と納税準備のヒント

土地と家屋に対する固定資産税および都市計画税の計算方法について、具体的な数値を用いてご説明いたします。以下のようなシンプルな例を通じて、実際の納税額をイメージしやすくしています。

対象資産 課税標準額 固定資産税(税率1.4%) 都市計画税(税率0.3%)
土地 2,000,000円 28,000円 6,000円
家屋 1,500,000円 21,000円 4,500円

上記のように、土地と家屋それぞれの課税標準額に対応する税率を掛け合わせることで、固定資産税と都市計画税の税額が算出できます(税率は自治体により異なりますので、ご確認ください)。

次に、総税額および期別納付の額を求める方法をご説明いたします。まず、土地と家屋それぞれの固定資産税額(28,000円+21,000円)および都市計画税額(6,000円+4,500円)を合算し、総額を算出します。

次に、合計額を4期に分けて納付する際には、1000円未満の端数は第1期に合算されるのが一般的です(自治体により異なる場合があります)。

シミュレーション時には、以下の点にご注意ください。まず、自治体によっては「住宅用地」に対する軽減措置があり、例えば200㎡以下の土地部分は課税標準額が1/6となることがあります。また「免税点」に達しない場合(例:土地30万円未満、家屋20万円未満)は非課税となる点もご確認ください。

以上のように計算方法を具体的に理解することで、納税準備をより安心して進めることができます。

まとめ

固定資産税や都市計画税は、不動産を所有する方にとって毎年必ず関わる大切な税金です。これらの税金は課税標準額と税率によって計算され、特に住宅用地には軽減措置も用意されています。さらに、税率や細かな計算ルールは自治体ごとに異なる場合があるため、自分の資産に関する情報を正確に把握することが大切です。納税の流れや事前のシミュレーションを行っておくことで、無理なく準備できるはずです。不明な点があれば、ぜひ専門家へご相談ください。

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