不動産仲介手数料の特例とは何か知っていますか?制度の内容や利用時の注意点も紹介

不動産を購入しようと考えたとき、「仲介手数料はいくらかかるのか」「仕組みはどうなっているのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。実は、不動産仲介手数料には法律で定められた上限や、2024年7月から始まる新しい特例制度が存在します。この記事では、仲介手数料の基本から新しい特例制度、手数料計算の具体例や利用時の注意点まで、分かりやすく解説します。不安や疑問を解消し、ご自身の不動産購入に役立ててください。
不動産仲介手数料の基本構造とその上限
不動産仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づき、売買価格に応じた一定の料率を乗じた金額を上限としています。具体的には以下の通りです。
| 価格帯 | 速算式(税抜) | 消費税加算後 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 売買価格×5% | 上表の税抜額に消費税を加算 |
| 200万円超~400万円以下 | 売買価格×4%+2万円 | 上表の税抜額に消費税を加算 |
| 400万円超 | 売買価格×3%+6万円 | 上表の税抜額に消費税を加算 |
例えば500万円の取引では、“500万円×3%+6万円”の速算式に基づき税抜で23万円、税抜額に消費税が加わる仕組みです。
このように、速算式は税抜価格に基づくものであり、実際には消費税が別途加算されることを、購入を検討されている方に知っておいていただきたい基本ルールです。
特例制度とは?物件価格800万円以下の特例の概要
令和六年(2024年)七月一日より施行された仲介手数料の特例制度は、「低廉な空き家等」とされる物件、具体的には売買価格が八百万円以下の土地・建物を対象とするものです。この改正により、売主・買主の双方から、それぞれ三十万円(消費税抜)まで、税込では三十三万円までの仲介手数料を受け取ることが可能となりました。
この特例は、従来の特例(四百万円以下の物件で売主からのみ最大十八万円(税抜))と比べて対象範囲が拡大され、報酬上限も引き上げられている点に特徴があります。特例の対象となる物件については、媒介契約の締結時に、報酬額の説明と依頼者の合意を得ることが必須とされています。特例を利用するには、事前の説明と契約上の明確な合意が重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象物件価格帯 | 800万円以下(消費税抜) |
| 仲介手数料の上限額 | 売主・買主それぞれ30万円(税抜)、税込33万円まで |
| 契約上の要件 | 媒介契約時に報酬内容の説明と依頼者の合意が必要 |
この特例制度は、低価格帯物件の流通を促進し、不動産業者が積極的に取り扱いやすい環境づくりを目的として導入されたものです。購入をご検討の方にとっては、仲介手数料の上限が従来よりも明確に定まった点で、費用計画の参考になりやすく、また安心して媒介契約を進めやすくなっております。
として、以上が「特例制度とは?物件価格800万円以下の特例の概要」の内容です。購入予定の方向け 特例がもたらすメリットと確認ポイント
2024年7月1日から、売買価格が800万円以下の不動産では、「低廉な空き家等」に該当する場合、売主・買主それぞれから最大で税込33万円、合計で最大66万円までの仲介手数料が認められるようになりました。その結果、不動産会社は取扱いに積極的になりやすくなり、購入機会の幅も広がります。実際に、流通件数の増加傾向も報じられています。
購入者にとってのメリットは、まず、手数料の上限が従来より高いことで業者が対応しやすくなり、低価格帯の物件でも相談しやすくなる点です。さらに、取引全体の流通促進が進むことで、選択肢が増える可能性があります。
特例の適用を受けるためには、媒介契約時に「特例適用で最大手数料がいくらまで可能か」「売主・買主双方で手数料はそれぞれいくらになるのか」「消費税込か税抜か」を明確に確認する必要があります。また、特例を利用する旨を媒介契約書や重要事項説明書に記載のうえ、依頼者双方の書面による合意が取れているかも必ずご確認ください。
以下は、特例制度における確認ポイントをまとめた表です。
| 確認項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 手数料上限額 | 売主・買主それぞれ最大税込33万円(合計66万円) | 契約時に明記・合意が必要です |
| 適用条件 | 物件価格800万円以下であれば、空き家・居住中を問わず対象 | 媒介契約書への記載忘れに注意 |
| 税金区分 | 税込表示であることが多い | 税抜か税込か業者に正式確認を |
特例を確実に利用し、安心して購入するためにも、不動産会社とのやり取りでは手数料の詳細確認を欠かさず、媒介契約の内容をしっかり把握することが不可欠です。
手数料計算の具体例と注意点(購入目線)
以下は、物件価格が700万円以下で、特例を適用する場合の具体的な計算例です。
| 項目 | 旧制度(速算式) | 特例適用後 |
|---|---|---|
| 手数料(税抜) | 700万円×3%+6万円=27万円 | 30万円(上限) |
| 消費税(10%) | 2万7千円 | 3万円 |
| 合計(税込) | 29万7千円 | 33万円 |
このように、従来の速算式では税込で約29万7千円ですが、特例を適用すれば最大で税込33万円まで可能です。つまり、購入者目線で見れば手数料が上限で上がるように見えるものの、実際には低価格帯の物件でも仲介会社が対応しやすくなる制度としてメリットがあります。なお、税込33万円という数字は、税抜30万円+消費税相当額で「最大価格」を示しており、実際の請求額は媒介契約での合意に基づいて決まります(特例適用には、売主・買主双方の事前説明と同意が必須です)。
特例が適用される場合でも、かならず媒介契約書にその旨が明記されており、購入者が理解・承諾したうえで契約を結ぶ必要があります。この同意がないまま特例額を請求することは、法律の枠外となりトラブルのもととなりますので、必ず媒介契約の内容を確認してください。
まとめ
不動産仲介手数料は法律で上限が定められており、購入予定者が安心して取引できる仕組みとなっています。令和六年七月一日からは、「低廉な空き家等」を対象とした新たな特例も施行され、手数料の上限や説明義務が強化されました。これにより、低価格帯の物件でも仲介会社からより丁寧なサービスが期待でき、購入を検討する方にとって費用面や流通促進での恩恵も広がります。媒介契約時には内容を十分に確認し、納得のうえで手続きを進めることが大切です。